【収録曲】
前奏曲とアレグロ(クライスラー)
組曲『ホルベアの時代から』Op.40(グリーグ)
歌劇『ウィリアム・テル』序曲(ロッシーニ)
歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』より間奏曲 (マスカーニ)
タイスの瞑想曲(マスネ)
エチュードOp.10-3『別れの曲』(ショパン)
エチュードOp.10-12『革命』(ショパン)
歌と踊り第4 番(モンポウ)
※全編曲:岡本和也
■現代ギター2025年4月号より
タイトルとジャケットから過激なアルバムなのかと躊躇したが、クラシックの名曲を岡本和也が編曲自演した作品集である。しかし本盤が相当に過激で革命的であるのは間違いない。管弦楽作品やピアノ作品をギターに編曲する場合、声部や構成音の取捨選択や簡略化を余儀なくされるが、岡本は原曲のすべてをギターに移植しようとしているかのようだ。“そのまま”に聴こえるのは編曲と演奏の妙技であろう。〈革命〉ではスラーの猛烈なラッシュにより無窮動に駆け降りるフレーズを表現し、〈ウィリアム・テル序曲〉はカルカッシの編曲が簡略版だとすればこちらはフルスペックの完全版、ラスゲアード、ハーモニクス、タッピング、トレモロ・ピッキング等を駆使して、夜明け、嵐、静寂、行進の情景を描き出す。クライスラーの〈アレグロ〉や〈別れの曲〉中間部の技巧的な畳み掛けも秀逸。グリーグやマスネは詩情を湛えて美しく歌い、アルバムの収録曲は多彩で一気に聴かせる。岡本の挑戦は見事に成功していると言えよう。 ( Genzo)
■プロフィール
1990年生まれ、高知県立岡豊高等学校に入学後、15歳より同ギター部にて松居孝行氏にクラシックギターを師事。高校3年間に高知県器楽コンクール独奏、重奏の部でそれぞれ優勝、下八川記念高知音楽奨励賞を受賞。
卒業後、桐朋学園芸術短期大学へ入学後、佐藤紀雄氏のもとで研鑽を積む。在学中、パリへ遊学。大学では全種の学内演奏会に出演、卒業演奏に出演する。全国スペインギターコンクール次席入賞。
現在バロックから現代曲まで"垣根なく"演奏活動中、自作自演まで活動の幅を広げている。
2010年、大学在学中に同県出身のギタリスト宮脇佑とともにギターデュオ「Led groooover」を結成、第22回日本重奏ギターコンクール準優勝を皮切りに、さまざまな現場での音楽アプローチを展開してきた。これまでにコンサートホールはもちろん、ライブハウス、クラブイベント、ファッションショー、演劇など幅広く演奏の場を広げている。自ら作曲して演奏するスタイルを貫いており、「ロック」のテイストを組み込んだ、「ロックラシック」と銘打ち、全国的に活動中。これまでに、1st,シングル[IGOSSO]、1st,ベストアルバム[AROUND THE NEW WORLD]をリリース。17年4月、1st,アルバム[豪傑]をリリース。第29回日本ギター重奏コンクール優勝。
ギタリスト大坪純平とともに現代音楽作品を中心としたコンサート「対話」を企画。W=レインダート、J=ボディ、H=バスケス、J=リッター、下山一二三、三善晃、たかの舞俐、田口和行、らの作品を取り上げ、これまでに数多くの初演、再演を手掛ける。