【CD】鈴木大介〈浪漫の薫り〉

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8弦ギターで紡ぐ、ロマン派ギタリスト&作曲家たちの夢のまほろば

クラシック・ギター界を代表する鈴木大介が、自身初となる8弦ギターでロマン派の作品を収録しました。シューベルト、メンデルスゾーン、ショパンの名曲の数々、そして同時代のオリジナル作品であるJ.メルツやN.コスト等聴きどころ満載の意欲作です。クラシック・ギターならではの、そこはかとない薫り立つような響きをまといながら、往時のギタリストや作曲家たちのまほろばを、是非一緒に旅して下さい。(販売元情報)

【収録内容】
フランツ・シューベルト:
1. 音楽に寄せて Op.88-4, D.547(編曲:鈴木大介)
2. アヴェ・マリア Op.52-6, D.839(編曲:ニコライ・アレクサンドロフ/鈴木大介)
3. 子守唄 Op.98-2, D.498(編曲:ニコライ・アレクサンドロフ)

フレデリック・ショパン:
4. マズルカ 第1番イ短調(嬰ヘ短調) Op.6-1(編曲:ヤン・ネポムツェン・ボブロヴィッツ)
5. マズルカ 第2番イ短調(嬰ハ短調) Op.6-2(編曲:ヤン・ネポムツェン・ボブロヴィッツ)
6. マズルカ 第3番ニ長調(ホ長調) Op.6-3(編曲:ヤン・ネポムツェン・ボブロヴィッツ)
7. マズルカ 第4番イ短調(変ホ短調) Op.6-4(編曲:ヤン・ネポムツェン・ボブロヴィッツ)
8. マズルカ 第5番イ長調(変ロ長調) Op.7-1(編曲:ヤン・ネポムツェン・ボブロヴィッツ)
9. マズルカ 第6番イ短調 Op.7-2(編曲:ヤン・ネポムツェン・ボブロヴィッツ)
10. マズルカ 第7番イ短調(ヘ短調) Op.7-3(編曲:ヤン・ネポムツェン・ボブロヴィッツ)
11. マズルカ 第8番イ長調(変イ長調) Op.7-4(編曲:ヤン・ネポムツェン・ボブロヴィッツ)

フェリックス・メンデルスゾーン:
12. ヴェネツィアの舟唄 第1番ホ短調(ト短調) Op.19-6(編曲:鈴木大介)
13. ヴェネツィアの舟唄 第2番ニ短調(嬰ヘ短調) Op.30-6(編曲:鈴木大介)

ナポレオン・コスト:
14. ジュラの思い出(アンダンテとポロネーズ) Op.44

ヨゼフ・カスパル・メルツ:
15. ハンガリー風幻想曲 Op.65-1
16. シュルホフの思い出(コンサート・マズルカ)
17. 無言歌~吟遊詩人の歌 Op.13より

ギター:鈴木大介
Guitar:Daisuke Suzuki

録音時期:2022年9月6,7日
録音方式:ステレオ(DSD/セッション)
DSD11.2MHz ハイレゾ・レコーディング
DXD384KHz ハイレゾ・ポストプロダクション
SACD Hybrid

企画制作:アールアンフィニ
発売:ミューズエンターテインメント
協力:ソニー・ミュージックソリューションズ


2022年の6月から、いつも素晴らしいギターを製作してくださる名工 今井勇一さんによる8弦ギターを弾き始めた。通常の6本の弦に加えて、7弦には5弦より1オクターブ低いA音、8弦には6弦より全音低いD音を張るのが僕の標準的な調弦で、そこから曲の調性に合わせて変化をさせている。
このギターを使って最初に演奏する作品として思い浮かんだのは、19世紀の音楽。
ここに録音されたメルツ、コスト以外にも、カルリ、レゴンディ、レニャーニ他、多くの多弦ギタリストが活躍したロマン派のギター音楽には、得難い魅力と未だに明かされぬ謎が息づいている。ピアノの進化、オーケストラの巨大化、音楽マーケットのマス化という荒波をギターという小舟で渡りきるために、彼らは道標となる星を探し続けた。そのひとつと目された多弦ギターの試みは(19)世紀の終わりを待たずに潰(つい)えてしまうのだが、当時の楽器の構造、弦の材質、音楽会(界)の状況などに思いを巡らせると、ひょっとするとコストもメルツもボブロヴィッツもアレクサンドロフも、夢見た音楽の姿を確かに完成されたものとしては手に入れられぬうちに、幻のような志(こころざし)の半ばにいたのかもしれない、と感じられるようになってきた。歴史に‘Whatif’を持ち込んでしまうリスクを承知しながらも、機能性、運動性の高い現代の多弦ギターと精度の高い弦を用いて彼らの楽譜を弾くことはあながち的外れではないのでは…。
メルツやコストの多弦ギターのためのオリジナル曲を極力音域やオクターブ、そしてアーティキュレーションの変更なしに演奏したものと、彼らが憧れたシューベルトやメンデルスゾーンの音楽をあらたに編曲したもの、あるいはショパンへのボブロヴィッツ、シューベルトへのアレクサンドロフの憧憬の詰まった編曲を一枚のアルバムにすることで、ロマン派のギタリストたちの“イデア”を紐解くことができるのではないだろうか、というエキシビション。そこにはもしかしたら、19世紀のクラシックギターが向かわなかったマルチヴァースの未来が見えるかもしれない。
200年後、分別もあってしかるべき年齢を重ねたにもかかわらず、今この瞬間も、抗えない運命の渦の中で虚しく格闘しているだけなのかもしれない僕ですらも、自分に残された時間や選択肢を、可能な限り満ち足りたものにしようと働きかける意志を持っている。多弦ギターへの挑戦や、異なる進化を遂げたクラシックギターの姿を想像することや、あてどのない飛躍と慣れない環境に身を投げうつことで、地球の引力と公転の束縛からのささやかな逸脱が精神には可能であることを信じていたいのだ。
そしてそれは、とても浪漫の薫りに満ちている。
~ 2023年7月 鈴木大介 ~


「ロマン派ギタリスト」の真価を問う大胆な試み
あの鈴木大介がついに多弦ギターを手にした、というのは多くのギター愛好家にとって“事件”のように感じられたはずだ。低音を拡張した8弦ギターというと、スペインの巨匠ホセ・トマスやその弟子ラファエラ・スミッツといった名手たちが思い出されるが、鈴木が同種の楽器でアルバム制作まですると予想できたリスナーはどれほどいただろうか。
どの時代・様式の作品も一級の演奏で聴かせ、ギター向きでないと思われる楽曲のアレンジも、巧みなコードワークや奏法上の創意工夫によって魅力的に弾くことを可能にしてきた才気あふれるギタリストの、いったいどこに多弦ギターを必要とする余地があったのか。その具体的な理由は鈴木自身が詳述しているので、ここではあえて、音楽史の別の文脈に接続する形でひとつの考察を加えてみたい。
すぐれた作曲家によるオリジナルのギター作品がかつては考えられなかったほど充実した現在、ギターという楽器の立ち位置は「黄金期」と呼ばれた200年前よりはるかに安定しているように見える。こんにちなお世界中の作曲家たちによってギター作品が生み出されつづけている状況は、そうした感覚をさらに強めることだろう。
しかし、順調につづくと思えるその道は、かつてロマン派のギタリストたちが直面した“たこ壺”につづく道かもしれない。ギター愛好家しかギター曲を聴かず、ギター愛好家のためだけにギタリストたちが演奏する、あの閉ざされた空間に。どれほど偉大な作曲家が実りある作品を残そうとも、それが幅広い人びとに享受されうる風通しのよい環境がない限り、進んでいる方向に違いはない。そしてその懸念は、クラシック音楽界全体が抱えている問題の相似形でもある。
そのような困難にいつも自覚的だった音楽家のひとりが鈴木大介であることは、あらためて解説するまでもないだろう。ギター界のしがらみにも、クラシック音楽界の枠組みにも囚われず、音楽を欲する人びとに真摯に向き合ってきた軌跡がある。そうした視座からいま一度、どうして鈴木がこの8弦ギターを手にしたのか、ぜひ想いを巡らせながらCDをかけてみていただきたい。「ロマン派のギタリストたちの“イデア”」は、実のところ到達しえなかった“過去”ではなく、満ち足りたように感じる21世紀のいま再び立ち現れようとしている“亡霊”なのかもしれない。それに対する柔軟な応答のひとつとして、このアルバムは音楽を聴くよろこびとともに、ノンリニアな未来への開かれた可能性を宿している。
~ 2023年7月 小川智史 ~
(販売元情報)


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